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【決算レポート】高炉各社の173 期決算の注目点 ニュースリリース | 日本格付研究所 JCR 17d0121 1

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17- D- 0121 201 7 年 5 月 1 1 日

高炉各社の 17/ 3 期決算の

注目点

高炉各社(新日鐵住金、ジェイ エフ イー ホールディングス(J FE)、神戸製鋼所、日新製鋼の 4 社)の 17/ 3 期決算および 18/ 3 期業績予想を踏まえ、株式会社日本格付研究所(J CR)の現況に関する認識と格付 上の注目点を整理した。

1. 業界動向

16 年度の国内粗鋼生産量は 1 億 516 万トン(前年比 0. 9%増)と 3 年ぶりに増加し、引き続き 1 億トン超 を維持した(図表1)。熊本地震の影響や建設向け需要の回復遅れなどにより上期の国内鋼材出荷はやや低 調であったが、下期には建設、自動車向けを中心におおむね堅調に推移した。また、高水準にあった国内鋼 材在庫も調整が進み、年度後半にはおおむね適正水準に戻った。

17 年度の国内粗鋼生産量も 16 年度を上回ると予想されている。東京オリンピック・パラリンピックに向 けた建設需要の増加が見込まれるほか、製造業向けの需要も底堅い見通しである。また、16 年度に発生した 熊本地震の影響がなくなり、自動車向けの需要増加が見込まれる。ただ、造船向けの需要が弱含んでいるこ とに加え、輸出数量の大幅な増加も見込みにくい。粗鋼生産量は底堅く推移すると考えられるものの、小幅 な増加にとどまる公算が大きい。

アジアの鋼材市況は 15 年末頃に底打ちし、その後は上昇と下落を繰り返しながら徐々に下値を切り上げ てきている。中国政府が主導する過剰生産能力の削減が進みつつあるほか、主原料価格の上昇が鋼材市況の 上昇を支えている。ただ、17 年 3 月の中国の 1 日当たり粗鋼生産量は過去最高水準となり、足元で鋼材市況 は下落している。中国国内の需要が堅調であることから鋼材輸出量は減少傾向にあるものの、今後も中国の 需給状況やアジアの鋼材市況の動向に注意が必要である。

16 年度後半以降、主原料となる鉄鉱石および原料炭の価格上昇が顕著である。中でも原料炭は、中国に おける生産規制や豪州での天候不順などの要因により、スポット価格が乱高下している。また、鉄鉱石でも 中国の需要増加などを背景に価格が上昇基調にある。今後も中国の需要動向や豪州、中国など生産地の状況 によって主原料価格が変動しやすい状態が続くと見られ、当面、高炉各社の業績変動リスクになると考えら れる。

2. 決算動向

高炉 4 社の 17/ 3 期経常利益合計額は 2, 461 億円(前期比 18. 0%減)と 2 期連続の減益となった(図表 2)。 上期に鋼材需要が弱含んだことに加え、下期に原料価格高騰に伴ってメタルスプレッド(原料価格と製品価 格による値差)が悪化したことが利益を下押しした。結果的に 17/ 3 期は、リーマンショック後のピークで あった15/ 3 期経常利益合計額8, 041億円の 3割程度にとどまった。また、この中には在庫評価益によるプ ラス効果が含まれており、実質的な減益幅はより大きなものであったと考えられる。

(2)

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財務面では、神戸製鋼所を除く 3社で最終黒字を確保したことなどにより、4社合計の自己資本は前期末 比増加した。一方、資産売却や運転資金の改善などにより、神戸製鋼所を除く 3社で実質的に有利子負債の 削減が進んだ(新日鐵住金の有利子負債増加は日新製鋼の連結子会社化によるもの)。この結果、17/ 3 期末 の高炉大手 4社の自己資本および有利子負債合計額(ともにハイブリッド商品の資本性評価後)によるデッ トエクイティレシオは 0. 6 倍と 16/ 3 期末の 0. 7 倍から改善した。他方、17/ 3 期の EBI TDA および期末有利子 負債合計額(同上)による有利子負債/ EBI TDA 倍率は 4. 3 倍となり、16/ 3 期の 4. 1 倍からやや悪化した(図 表 3)。

18/ 3 期も、財務の改善ペースは緩やかなものにとどまる可能性が高いと見ている。各社とも引き続き国 内製鉄所の競争力強化や合理化のための設備投資が計画されており、海外事業拡大に向けた投資も続くと見 られる。ただ、各社ともに健全な財務体質の重要度を認識しており、資産圧縮などを進めて今後も財務健全 性を維持していく方針である。

3. 決算に

格付上の

注目点

高炉 4 社の売上高、経常利益の合計額から算出される売上高経常利益率(ROS)は、14/ 3 期に 5. 5%、 15/ 3 期に 6. 7%と 2 年連続で改善したが、16/ 3 期は 2. 8%、17/ 3 期は 2. 4%と 2 年連続で悪化した。これは、 在庫評価益がプラスに寄与したものの、収益性の高いエネルギー向け鋼材の販売減によるプロダクトミック スの悪化に加え、原料価格上昇に対して販売価格の引き上げが追い付かず、メタルスプレッドが縮小したた めである。ひも付き取引では一定程度主原料価格の変動分を販売価格に反映させることができるもようであ り、今後は遅れているメタルスプレッドの改善が進むと見られる。しかし、店売りを含めて国内における鋼 材値上げが鈍い上、足元でアジアの鋼材市況が軟化していることから輸出の値上げも進みにくい状況にある。 また、16 年度後半以降の原料炭価格の動きは過去に例がないほど短期間で大きく変動しており、メタルスプ レッドを確保していくことの難易度が上がっていると考えられる。適正なメタルスプレッドを確保していく ことは ROS の改善に不可欠であり、高炉各社が計画通り販売価格の改定を実現できるか注目していく。

近時は主原料価格下落に伴う安価原料使用効果の低下や修繕費および保全費などの増加によってコスト削 減額は漸減していたが、各社が取り組んできた合理化投資の効果などにより、コスト削減額は増加に転じつ つある。各社のコスト削減額を見ると、新日鐵住金は 17/ 3 期の 600 億円から 18/ 3 期は 500 億円に減る見通 しであるが、J FE は 17/ 3 期の 300 億円から 18/ 3 期は 450 億円に、神戸製鋼所は 17/ 3 期の 45 億円のコスト アップから 18/ 3 期は200 億円のコスト削減を見込んでいる。19/ 3 期以降も新日鐵住金では日新製鋼の子会 社化によるシナジー効果、J FE ではコークス自給体制化による原料コスト引き下げ、神戸製鋼所では上工程 集約による合理化効果が見込まれ、今後もコスト削減が各社の収益に寄与していくと考えられる。

事業環境が厳しい中でも財務体質の改善は進んでいる。新日鐵住金、J FEの2社はともにデットエクイテ ィレシオ 0. 5∼0. 6 倍(ハイブリッド商品の資本性評価後)と過去最良水準を維持している。また、日新製 鋼は 16/ 3 期にデットエクイティレシオが1. 1 倍に悪化したものの、17/ 3 期は 1. 0 倍に回復させた。一方、 15/ 3 期にデットエクイティレシオが過去最良水準を更新した神戸製鋼所は、有利子負債の増加および自己資 本の減少によって16/ 3 期以降は悪化が続いており、17/ 3 期末のデットエクイティレシオは1. 2 倍となった。 各社の業績や財務運営状況によって財務健全性には差異が見られる。また、今後は収益改善が見込まれる一 方で、引き続き国内外で様々な投資が必要になると想定される。こうした中で、各社が財務健全性を維持、 向上させていくことができるか注目していく。

(3)

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(図表 1)国内粗鋼生産量推移

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

'07 '08 '09 '10 '11 12 13 14 15 16

(億トン)

(年度)

(出所:日本鉄鋼連盟資料より J C R 作成)

(図表 2)高炉大手 4 社の業績推移 (単位:億円、%)

売上高 前期比 営業利益 前期比 経常利益 前期比

売上高経常

利益率

親会社株主

に帰属する

当期純利益 前期比

新日鐵住金 16/ 3 期 49, 074 ▲12. 5 1, 677 ▲52. 0 2, 009 ▲55. 5 4. 1 1, 454 ▲32. 1 (5401) 17/ 3 期 46, 328 ▲5. 6 1, 142 ▲31. 9 1, 745 ▲13. 1 3. 8 1, 309 ▲10. 0

18/ 3 期予 未定

J F E 16/ 3 期 34, 317 ▲10. 9 906 ▲59. 3 642 ▲72. 2 1. 9 336 ▲75. 8

(5411) 17/ 3 期 33, 089 ▲3. 6 967 +6. 7 847 +31. 9 2. 6 679 +101. 9

18/ 3 期予 未定

神戸製鋼所 16/ 3 期 18, 228 ▲3. 4 684 ▲42. 7 289 ▲71. 6 1. 6 ▲215 -

(5406) 17/ 3 期 16, 958 ▲7. 0 97 ▲85. 8 ▲191 - ▲1. 1 ▲230 -

18/ 3 期予 18, 700 10. 3 750 669. 3 500 - 2. 7 300 -

日新製鋼 16/ 3 期 5, 470 ▲11. 4 100 ▲52. 1 62 ▲68. 5 1. 1 ▲66 -

(5413) 17/ 3 期 5, 255 ▲3. 9 78 ▲22. 3 59 ▲3. 4 1. 1 16 -

18/ 3 期予 未定

4 社合計

16/ 3 期 107, 090 ▲10. 5 3, 369 ▲52. 7 3, 003 ▲62. 7 2. 8 1, 509 ▲67. 0 17/ 3 期 101, 633 ▲5. 1 2, 285 ▲32. 2 2, 461 ▲18. 0 2. 4 1, 775 17. 6 (出所:各社決算資料より J C R 作成)

(図表 3)高炉大手 4 社の財務推移 (単位:億円、倍)

自己資本 有利子負債 D/ E レシオ EBI TDA

有利子負債

/ EBI TDA

営業

キャッシュフロー

投資

キャッシュフロー

新日鐵住金 15/ 3 期 32, 036 20, 341 0. 6 7, 021 2. 9 7, 109 ▲2, 636

(5401) 16/ 3 期 29, 238 18, 451 0. 6 5, 030 3. 7 5, 629 ▲2, 422

17/ 3 期 30, 982 19, 418 0. 6 4, 395 4. 4 4, 842 ▲3, 437

J F E 15/ 3 期 21, 639 12, 767 0. 6 4, 102 3. 1 2, 973 ▲2, 163

(5411) 16/ 3 期 20, 291 11, 543 0. 6 2, 802 4. 1 2, 671 ▲1, 373

17/ 3 期 21, 408 11, 004 0. 5 2, 904 3. 8 1, 854 ▲1, 637

神戸製鋼所 15/ 3 期 7, 764 6, 773 0. 9 2, 162 3. 1 1, 530 ▲736

(5406) 16/ 3 期 6, 920 7, 894 1. 1 1, 712 4. 6 979 ▲1, 046

17/ 3 期 6, 739 7, 969 1. 2 1, 118 7. 1 1, 417 ▲1, 378

日新製鋼 15/ 3 期 2, 829 2, 698 1. 0 467 5. 8 393 ▲293

(5413) 16/ 3 期 2, 316 2, 595 1. 1 389 6. 7 505 ▲282

17/ 3 期 2, 332 2, 250 1. 0 372 6. 0 575 ▲375

4 社合計

15/ 3 期 64, 270 42, 581 0. 7 13, 753 3. 1 12, 007 ▲5, 830

16/ 3 期 58, 767 40, 485 0. 7 9, 934 4. 1 9, 785 ▲5, 124

17/ 3 期 61, 462 38, 192 0. 6 8, 790 4. 3 8, 690 ▲6, 829

(出所:各社決算資料より J C R 作成)

※ 1 新日鐵住金、J F E 、日新製鋼はハイブリッド商品の資本性評価後

※ 2 有利子負債にリース債務は含まれていない

(4)

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【参考】

発行体:新日鐵住金株式会社

長期発行体格付:A A - 見通し:安定的

発行体:ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社

長期発行体格付:A A - 見通し:安定的

発行体:J F E スチール株式会社

長期発行体格付:A A - 見通し:安定的

発行体:株式会社神戸製鋼所

長期発行体格付:A 見通し:安定的

発行体:日新製鋼株式会社

長期発行体格付:A - 見通し:安定的

■留意事項

本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また

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